「アイスヴァイン」というワインを知っていますか?
ワインへ氷を入れてキンキンに冷やして楽しむワイン
……ではありません。笑
アイスヴァインは、凍ったブドウを使って造られる甘口ワインなんです。
凍ったブドウを使うと、どうして甘口になるの?
どうして高級なの?
アイスヴァインの秘密について、解説していきます!
アイスヴァインとは?
アイスヴァイン(Eiswein)は、凍ったブドウを使って造られる甘口ワイン。
ですが、冷凍庫などで人工的に冷やして凍らせるわけではありません。
なんと、樹になったまま自然に凍ったブドウを使います。

一般的なワイン用ブドウは、秋ごろに収穫されます。
ところが、アイスヴァインに使うブドウはそこで収穫せず、気温が下がってブドウが自然に凍るのを待ちます。
そして、十分に冷え込んでブドウが凍ったところで収穫し、凍ったまま圧搾します。
この「凍ったまま搾る」というところも、アイスヴァインの大きなポイントです。
ブドウが凍るとどうなる?
そもそも、ブドウを凍らせるとなぜ甘口になるのでしょうか。
ブドウの実の中には、
- 水分
- 糖
- 酸
- 香りに関わる成分
などが含まれています。
ブドウが凍ると、このうち水分の一部が氷になります。
決して、「凍らせることで糖や酸が増える」わけではありません。
凍ったまま搾ると、濃い果汁がとれる!
凍ったブドウを圧搾すると、氷になった水分の多くは、圧搾機の中に残ります。
そのため、通常よりも糖や酸などの割合が高い、濃縮された果汁が得られます。

普通のブドウを搾ったときよりも、取れる果汁の量は少なくなります。
その代わり、とても濃い果汁になるんですね。
どうして甘口ワインになるの?
アイスヴァインの果汁には、多くの糖分が含まれています。
通常のワインと同じように、ワイン造りでは酵母が果汁中の糖を食べて、アルコールを造ります。
しかし、アイスヴァインの果汁はもともとの糖度がとても高いため、アルコール発酵後も多くの糖分が残るのです。

発酵後にも糖分が残り、甘口のワインになります。
さらに、凍結によって濃縮されるのは糖だけではありません。
酸も一緒に濃縮されます。
そのため、濃厚な甘さがありながら、酸味も感じられるのがアイスヴァインの特徴のひとつです。
ただ甘いだけではなく、甘みと酸味の両方を持った味わいになるんですね。
「ブドウを冷凍すればアイスヴァイン」ではない?
普通のブドウを冷凍庫で凍らせれば、アイスヴァインを造れるのでは?
と思った人もいるかもしれません。
実は、収穫したブドウを人工的に凍らせて造るワインもあります。
この技術のことを、クリオ・エクストラクシオン(Cryo-extraction)といいます。
ブドウを凍らせ、水分を氷として残した状態で圧搾することで、糖度の高い果汁を得るという仕組み自体はほぼ同じ。
でも、アイスヴァインでは、ブドウが樹についている状態で自然に凍るのを待つことが大きなポイント。
ドイツでは、アイスヴァインとして認められるための条件が法律で定められています。
ブドウは自然に凍った状態で収穫・圧搾する必要があり、人工的に凍らせたブドウから造ったワインを「アイスヴァイン」とすることはできないとされています。
自然に凍るまで待つのは簡単じゃない
ブドウを通常の収穫時期に摘まず、そのまま樹につけておくということは、それだけ長い間ブドウを畑に残しておくということ。
その間に、
- ブドウが傷んでしまう
- 鳥などに食べられてしまう
- 思ったように気温が下がらない
といったリスクがあります。

しかも、無事に凍ったとしても、圧搾して得られる果汁はごく少量。
普通のワインと比べると、同じ量のブドウから造れるワインの量も当然少なくなります。
つまりアイスヴァインは、収穫できない可能性まで抱えながら長い間ブドウを樹に残し、さらに無事に収穫できても少量の果汁しか得られないワインなんです。
こうした収穫の難しさや生産量の少なさが、アイスヴァインが希少で高価になりやすい理由のひとつなんですね。
まとめ
「アイスヴァイン」という名前だけを見ると、冷たくして飲むワインのようにも思えますが、
自然に凍ったブドウを、そのまま搾って造るワインをさしていたんですね。
ブドウの中の水分が氷になり、その氷を圧搾機に残すことで、糖や酸を多く含んだ濃い果汁を取り出しています。
ブドウを凍らせたことで糖が突然増えるのではなく、水分が減ることで、もともとあった成分がぎゅっと濃縮される。
しかも、冬までブドウを樹に残し、自然に凍る瞬間を待つ。
その間には傷みや鳥害などのリスクもあり、無事に収穫できても得られる果汁はほんのわずか。
そう考えると、かなり特別なワインであることがわかりますね。
見かけたら飲んでみたいワインの一つです。