ワインの原料になるブドウ。
秋にたわわに実ったブドウを収穫する姿はイメージしやすいですが、そこに至るまで、ブドウの木が1年間どんなふうに過ごしているか知っていますか?
ワインになる前のブドウが、畑でどんな1年を過ごしているのか。
知っておくと、いつものワインにもさらに愛着が湧くかもしれません!
この記事では、ワイン用ブドウの1年間の生育サイクルを、季節ごとに追いかけてみましょう!
ブドウの1年をざっくり見てみよう
地域によって生育の時期には差がありますが、この記事では北半球の一般的な生育サイクルを中心に見ていきましょう。
ブドウの木は、1年の中で大きく次のような変化を繰り返しています。
休眠
↓
萌芽、展葉・新梢の成長
↓
開花、結実・果粒の成長
↓
着色、成熟、収穫
↓
落葉
↓
再び休眠

収穫が終わったらそれでおしまい、というわけではありません。
やがて葉を落として休眠に入り、次の春に向けた準備が始まります。
それでは、季節ごとに見ていきましょう!
冬|葉を落として「休眠」する
秋が深まると、ブドウの葉は黄色や赤色に変わり、やがて落葉します。
冬になると、畑に残るのは枝だけ。
一見すると「枯れてしまったのかな?」と思うような姿になりますが、ブドウの木は枯れているわけではありません。
春の生育に向けて、休眠している状態です。

冬の大仕事「冬季剪定」
ブドウの木が休眠している冬には、冬季剪定が行われます。
「枝をたくさん残しておけば、たくさん収穫できるし剪定しなくていいじゃん!」
と思うかもしれませんが、そうでもないのです。
芽をたくさん残せば、それだけたくさんの枝が伸びますが、多すぎると枝葉が混み合ったり、実をつけすぎて十分に成熟しにくくなったりすることもあります。
そこで冬のうちに、
- どの枝を残すか
- どの芽を残すか
- 翌年どのくらいの枝や実を育てるか
を考えながら剪定します。
いわば、これから始まる1年間のブドウ栽培の「設計図」を作る作業です。
春|ブドウが目を覚ます
寒い冬が終わり、気温が上がってくると、ブドウの木も少しずつ活動を始めます。
冬の間じっとしていた芽が膨らみ、いよいよ新しい生育シーズンのスタートです。

「萌芽」って何?
ブドウの生育サイクルで、まず出てくるのが「萌芽(ほうが)」です。
萌芽とは、簡単にいうと、
冬の間休んでいた芽が開き、新しい緑色の部分が出てくること。
枝についていた小さな芽がふくらみ、そこから新しい葉や枝が顔を出し始めます。
「芽が新しく作られる」というよりも、冬の間眠っていた芽が目を覚ますと考えるとイメージしやすいかもしれません。
萌芽の次は「展葉」
萌芽すると、そこから小さな葉が開いていきます。
これが「展葉(てんよう)」です。
最初は小さかった葉が1枚、2枚と増え、それと同時に新しい枝である「新梢(しんしょう)」もぐんぐん伸びていきます。
冬には枝だけだったブドウ畑が、春になると一気に緑色になっていきます。
春の終わり〜初夏|小さな花が咲き、実ができる
新梢が伸びていくと、その途中に小さな房のようなものが見えてきます。
そして初夏になると、いよいよブドウの花が咲きます。
ブドウの花というと、どんな花を思い浮かべますか?
実は、私たちがよく見る華やかな花とは少し違い、とても小さくて目立ちません。
小さな白〜黄緑色の花が、房のように集まって咲きます。

そして、この小さな花の一つ一つが、うまく実をつければブドウの一粒一粒になっていきます。
小さなブドウの実ができる
花が咲いたあと、実がつき始めます。
これを「結実(けつじつ)」といいます。
最初の果実は、とても小さな緑色。
そこから少しずつ大きくなり、私たちがイメージするブドウの房らしい姿へと近づいていきます。
ただし、この時点ではまだ果実は緑色で硬く、甘いブドウとはほど遠い状態です。
夏の間に、果実はさらに成長していきます。
夏|枝葉を整え、実が成長する
夏季剪定
夏になると、ブドウの枝や葉はどんどん成長します。
そこで行われるのが、夏季剪定です。
「冬にも剪定していたのに、夏にも切るの?」
と思いますよね。
夏季剪定は、伸びすぎた枝や混み合った葉などを整えていく作業です。
人間でいうと、伸びた髪を整える散髪みたいなものですね!笑
枝葉が混みすぎないようにすることで、ブドウの房に光が届きやすくなったり、風通しがよくなったりします。

夏後半〜秋|ブドウが色づき、成熟する
夏の後半になると、ブドウの実に大きな変化が現れます。
それまで硬く緑色だった果実がやわらかくなり、黒ブドウでは赤や紫色へと色づき始めます。
この頃、ブドウは成熟の段階へ入っていきます。
この変化が始まる時期を「ヴェレゾン(Véraison)」と呼びます。
黒ブドウでは、
緑色
↓
赤っぽくなる
↓
紫色へ
と変化していくため、とてもわかりやすい時期です。
白ブドウは黒ブドウほど劇的に色が変わるわけではありませんが、果実がやわらかくなるなど、同じように成熟へ向かって変化していきます。

ブドウの成熟
着色が始まったからといって、すぐに収穫できるわけではありません。
そこからさらに果実は成熟していきます。
成熟が進むにつれて糖分が増え、酸の状態も変化し、香りや風味も少しずつ変わっていきます。
ブドウは、
「ただ大きくなった果実」から「ワインを造るためのブドウ」へ
仕上がっていくのです。
ブドウが十分に成熟したら、いよいよ収穫です。
ブドウの状態を確認しながら、それぞれのワインに適したタイミングで収穫されます。
まとめ
一年かけて育てられてきたブドウが、ここからワイナリーへ運ばれ、ワイン造りが始まります。
収穫後もしばらく葉は残り、やがて秋が深まると落葉します。
そして冬になると、再び休眠へ。
こうしてブドウの木は、毎年同じサイクルを繰り返しています。
ワインを飲むときに、ブドウやそれを作っている人たちにも思いを馳せながら飲んでみてくださいね!