ワインの楽しみといえば、味わいだけじゃなくて「香り」もとっても大切!
グラスに鼻を近づけてみると、フルーツや花、ハーブ、バニラなど、いろいろなものを思わせる香りが感じられます。
プロのソムリエたちは何百種類もの香りを嗅ぎ分けて香りを表現しますが、初心者さんには少し難しく感じてしまいますよね。
でも、最初から香りの正体をぴったり当てる必要はありません。
「フルーツっぽいかも?」
「甘い香りがする!」
「なんだか爽やかな感じ!」
こんな感覚からでもOK!
そんな香りの特徴を見つけるための、ちょっとしたポイントを紹介します。
香りを楽しむ基本のステップ
1.まずはグラスを動かさずに香りをかいでみよう

まずは、グラスのボウルに鼻がすっぽり入るくらい近づいてゆっくり香りを感じてみましょう。
はじめはグラスを動かさずに、ふわっと香りを感じてみましょう。
長くかぎ続けると香りに慣れてしまうので、2〜3秒くらいかいだら、一度グラスから鼻を外しましょう!
少し間を空けながら、何回かに分けてかぐのがコツですよ。
2.グラスをくるくる回してみよう

次に、グラスを軽く回してみましょう。
このように、グラスを回すことを「スワリング」といいます。
スワリングをするとワインが空気に触れ、香りがグラスの中へ広がりやすくなります。
グラスをテーブルに置いたまま、円を描くようにゆっくり回すと、こぼしにくくて安心ですよ。
スワリングをしたら、もう一度香りをかいでみましょう。
最初より香りがはっきりしたり、1回目には気づかなかった香りが見つかったりするかもしれません!

ピヨメモ
ワインの香りは「アロマ」と呼ばれることがあります。
香りの種類とそこから読み取れるヒント
ワインの香りの要素は、
- ブドウや発酵から生まれる香り
- 樽やワインの造り方から生まれる香り
- 熟成によって変化した香り
などがあります。
大前提として、香りの感じ方は人それぞれでいいんです!
ただ、いくつかの香りのグループからたどっていくのがおすすめです。
そこから少しずつ具体的な香りを探していくと、そのワインのプロフィールが見えてきますよ。
フルーツ系の香り

フルーツの香りは、比較的想像しやすいですよね。
「フルーティーな香りがする」と感じたら、もう一歩だけ掘り下げて、どんな果物に近いか考えてみましょう!
赤系果実
イチゴ、ラズベリー、さくらんぼなどを思わせる香りです。
赤ワインで感じられることが多く、涼しい地域で造られたワインや、若々しく軽やかな赤ワインによく見られます。
比較的色の淡い赤ワインに多い香りです。
黒系果実
カシス、ブルーベリー、ブラックベリーなどを思わせる香りです。
温暖な地域でブドウがよく熟した、色の濃い赤ワインに多く感じられます。
また、濃厚で力強い赤ワインを想像するヒントになります。
柑橘系
レモン、ライム、グレープフルーツなどを思わせる香りです。
若い白ワインに多く、爽やかで酸味のしっかりしたワインによく見られます。
特に、涼しい地域で造られた白ワインで感じやすい香りです。
りんご・洋なし系
青りんご、赤りんご、洋なしなどを思わせる香りです。
白ワインやスパークリングワインで感じられることが多く、みずみずしくフレッシュなワインの特徴です。
青りんごのような香りは、涼しい地域で造られた酸味のある白ワインによく見られます。
桃・あんず系
桃、あんず、ネクタリンなどを思わせる香りです。
ブドウがしっかり熟した白ワインや、香りの華やかな白ワインに多く感じられます。
柑橘系よりも、少しふくよかな味わいのワインを想像するヒントになります。
トロピカルフルーツ系
マンゴー、パイナップル、パッションフルーツなどを思わせる香りです。
温暖な地域で育ったブドウや、よく熟したブドウから造られた白ワインに多い香りです。
果実味が豊かで、ボリューム感のあるワインによく見られます。
ドライフルーツ・煮詰めた果実
レーズン、プルーン、ドライいちじく、ジャムなどを思わせる香りです。
熟成したワインや、よく熟したブドウから造られたワイン、甘口ワインなどで感じられます。
フレッシュな果実ではなく、乾燥させたり煮詰めたりしたような香りがする場合は、ブドウの熟し具合やワインの熟成が進んでいることを想像できます。
植物系の香り

植物系には、草やハーブのようなフレッシュな香りから、枯れ葉や森の土を思わせる落ち着いた香りまであります。
どんな植物に近いかを探すと、ブドウ品種や熟成の進み具合を知るヒントになりますよ。
ピーマン・草などの青い香り
ピーマン、刈ったばかりの草などを思わせる香りです。
ソーヴィニヨン・ブランやカベルネ・ソーヴィニヨンなど、特定のブドウ品種で感じられます。
涼しい地域で育ったブドウでは、よりはっきり青っぽい香りが目立つこともあります。
ハーブ・ミントなどの香り
ミント、ユーカリ、ハーブなどを思わせる香りです。
赤ワインと白ワインのどちらにも見られ、涼しい地域で育ったブドウや、ハーブの香りを持つ品種の特徴として現れます。
カベルネ系の赤ワインやソーヴィニヨン・ブランなどで感じることがあります。
枯れ葉・キノコなどの香り
枯れ葉、キノコ、森の土などを思わせる香りです。
瓶内熟成が進んだ赤ワインに多く見られます。
若いワインのフレッシュな果実の香りが落ち着き、熟成して複雑な香りへ変化してきたことを読み取るヒントになります。
用語メモ:「瓶内熟成」
ワインを瓶に詰めた後に熟成する方法です。
花系の香り

ワインからは、花を思わせる華やかな香りが感じられることもあります。
嗅いだことのない花をぴったり当てるのは難しいので、最初は「フローラルな香りがするかも」くらいでも大丈夫ですよ!
バラ・すみれなどの香り
バラやすみれを思わせる、華やかな香りです。
香りの強いブドウ品種から造られたワインや、繊細でエレガントな赤ワインによく見られます。
白い花の香り
アカシア、ジャスミン、スイカズラなどを思わせる香りです。
若い白ワインや、香りの華やかな白ブドウ品種から造られたワインで感じられます。
柑橘系やりんご系の香りと一緒に感じる場合は、爽やかで若々しい白ワインを想像するヒントになります。
ドライフラワーのような香り
乾燥させた花や、少し色あせた花を思わせる香りです。
熟成した赤ワインなどで見られ、若いころの華やかな花の香りが、時間とともに落ち着いてきたことを感じさせます。
はちみつのような香り
花の蜜やはちみつを思わせる、濃厚で甘い香りです。
貴腐ワインなどの甘口ワインや、熟成した白ワインによく見られます。
用語メモ:「貴腐ワイン」
貴腐菌という菌がつき、水分が抜けて果実がシワシワになった「貴腐ブドウ」から造られるワインです。
甘くてとろっと濃厚な極上ワインです!
動物系の香り

動物系の香りと聞くと、少し想像しにくいですよね。
革やお肉、乳製品など、動物にまつわるものを思わせる香りです。
主に熟成やワイン造りの工程によって現れ、そのワインの複雑さを読み取るヒントになります。
なめし革・肉のような香り
なめし革、肉、ジビエなどを思わせる香りです。
瓶内熟成が進んだ赤ワインで感じられることが多い、複雑な香りの一つです。
若いワインに多い果実の香りが変化し、熟成が進んでいることを読み取るヒントになります。
バター・クリーム・ヨーグルトのような香り
バターやクリーム、ヨーグルトなどの乳製品を思わせる香りです。
「マロラクティック発酵」を行ったワインで感じられます。
多くの赤ワインのほか、樽を使って造られたシャルドネなど、まろやかでコクのある白ワインにも見られる香りです。
用語メモ:「マロラクティック発酵」
ワインに含まれるキリッとした酸を、乳酸菌の力でまろやかな酸へ変える工程です。
酸味がやわらかくなり、バターやクリームのような香りが生まれることもあります。
ミネラル系の香り

「本当にワインからこんな香りがすることあるの?」と思うような、不思議な表現ですよね。
ワインの香りを表現するときには、濡れた石や火打ち石、鉛筆の芯などに例えることがあります。
石などを思わせる香りや、硬質で引き締まった印象を「ミネラル」と表現しています。
濡れた石・チョーク・火打ち石のような香り
雨に濡れた石やチョーク、火打ち石などを思わせる香りです。
酸味のしっかりした辛口白ワインや、涼しい地域で造られた白ワインによく使われる表現です。
シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなどで感じることがあります。
鉛筆の芯・黒鉛のような香り
鉛筆の芯や黒鉛を思わせる、少し乾いた香りです。
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローを使った、しっかりした赤ワインで感じられることがあります。
石油のような香り
灯油や石油を思わせる、少しクセのある香りです。
特にリースリングで感じられ、瓶内熟成が進むと分かりやすくなることがあります。
最初は驚くかもしれませんが、熟成したリースリングの個性を読み取るヒントになる香りです。
トースト系の香り

その名のとおり、パンのトーストを思わせる香ばしい香りのことを指します。
コーヒー、ナッツなどの香りもこのグループ。
主に樽、酵母、熟成などの影響によって生まれます。
バニラ・ココナッツのような香り
バニラやココナッツを思わせる甘い香りは、主に樽から生まれます。
樽を使って造られた赤ワインと白ワインの両方で感じられます。
トースト・コーヒー・煙のような香り
焼いたパン、コーヒー、チョコレート、煙などを思わせるちょっとビターな香ばしい香りです。
内側を焼いた樽を使って造られたワインに多く、赤ワインと白ワインのどちらにも現れます。
酸味が穏やかな白ワインからは、カラメルの甘い香りがすることもあります。
ナッツ・キャラメルのような香り
アーモンド、ヘーゼルナッツ、キャラメルなどを思わせる香りです。
熟成した白ワインや甘口ワイン、酸素に触れさせながら造るタイプのワインなどで感じられます。
樽や熟成、酸素との関わり方を想像するヒントになります。

ピヨメモ 「『樽を焼く』ってどういうこと?」
ワイン樽は、造るときに内側を火であぶります。
この焼き加減によって、バニラやトースト、コーヒー、煙など、ワインに加わる香りも変わります。
樽の内側に香ばしい風味をつける工程です!
+α ワイン由来ではない香り
ここまでさまざまな香りを紹介してきましたが、ときにはワイン本来のものではない、好ましくないにおいを感じることがあります。
代表的なものが「ブショネ」です。
ブショネとは、主にコルクなどに由来する成分によって、ワインにカビや湿った段ボールのようなにおいがついてしまう品質トラブルのこと。
ブショネになると、果実の香りも感じにくくなり、ワイン本来の味わいを楽しむのが難しくなります。
ソムリエが抜栓後に少量のワインを注ぎ、香りを確かめているのは、ブショネなどの異常がないか確認するためでもあります。
体に害はないとされていますが、美味しく飲むことはできません…。
まとめ
香りは、ワインの“個性の宝庫”です。
グラスに鼻を近づけるだけで、使われているブドウや産地の気候、ブドウの熟し具合、ワインの造り方、熟成の進み具合など、さまざまなヒントを見つけられます。
最初は、
「何かフルーツっぽいかも?」
「ちょっと甘い香りがする!」
「爽やかな感じがする!」
と、ざっくりした印象でOKです。
慣れてきたら、「フルーツの中でも赤い果物かな?」「イチゴに近いかも!」と、少しずつ具体的な香りを探してみましょう。
見つけた香りを組み合わせていくと、そのワインがどんな場所で、どんなブドウから、どんなふうに造られたのか、少しずつプロフィールが見えてきます。
ぜひ、香りから広がるワインの世界を楽しんでみてくださいね!